がれき処理費用 「自治体の取り組みでコストに10倍もの差」

  • 12 年前
がれき処理費用 自治体間で10倍の差
9月9日 17時44分

東日本大震災からまもなく1年半がたちますが、復興の妨げとなる震災で発生した大量のがれきについて、処理費用が分別方法の違いなどによって自治体の間で大きな差が出て、最大で10倍の開きがあることがNHKの調べで分かり、国は、「改善すべき要因があるかどうか検証は必要だ」としています。

震災で被害が大きかった岩手、宮城、福島の3つの県の沿岸部では合わせて2758万トンのがれきが発生したと推計され、先月末までにおよそ73%に当たる2014万トンが仮置き場に運び込まれて処理が進められています。
NHKは、原発事故の影響でほとんど処理が進んでいない福島県を除いた、岩手県と宮城県の沿岸部にある27の市町村で、すでに使われたり、今後、見込まれたりする費用などから、がれき1トン当たりの処理費用を調べました。
その結果、1トン当たりの処理費用の平均は4万5000円余りと、およそ2万2000円だった阪神・淡路大震災の2倍を超えていました。
各自治体ごとの処理費用を見てみますと、岩手県大槌町が9万7000円と最も高く、次いで岩手県田野畑村が8万5000円、宮城県石巻市が7万1000円でした。これに対し、宮城県東松島市では9600円と最も安く、最も高かった大槌町と比べて10倍の開きがありました。
費用が高くなった理由について23の自治体では、震災直後に大量のがれきを一刻も早く撤去しようと、解体現場などから十分に分別しないままがれきを集めたことで、仮置き場での分別が必要になり人手がかかるうえ、新たに機械を導入しなければならず、多額の経費がかかったということです。
さらに、震災発生当初、27のすべての自治体が業者の選定に入札を行わず、随意契約を結んでいて、業者に対し、適切な処理費用が支払われたかどうか多くの自治体で十分チェックできていなかった可能性があるということです。
このため、27の自治体のうち15の自治体では、業者の選定に入札を導入し、透明性を高める取り組みを進めています。
がれきの処理について、震災の復興に向けた予算として、昨年度と今年度でおよそ1兆円が充てられていて、がれき処理を監督する環境省廃棄物対策課の山本昌宏課長は「どういう差が出ていてどういう要因によるのかは十分把握できていない。改善すべき要因があるかどうか検証は必要だ」と指摘しています。
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