1-4 アリストテレス「ニコマコス倫理学」100分de名著
  • 22 日前
100分de名著
アリストテレス「ニコマコス倫理学」

■第1回倫理学とは何か
「ニコマコス倫理学」は、哲学史上初めて「倫理学」を体系化した書物である。「倫理学」と訳されているギリシア語は、語源的には、「人柄に関わる事柄」という意味である。どのような人柄を形成すれば幸福な人生、充実した人生を送ることができるのかを考察するのがアリストテレスの倫理学なのである。第一回は、「倫理学」とはどのような学問なのか、「倫理学」を学ぶことにはどのような意味があるのかを、「理論的学」と「実践的学」の区別というアリストテレスの学問論に基づいて明らかにする。

【指南役】山本芳久(東京大学大学院教授)…「トマス・アクィナス 理性と神秘」でサントリー学芸賞受賞。
【朗読】小林聡美(俳優)
【語り】小坂由里子
【声】羽室満

■第2回 幸福とは何か
アリストテレスの倫理学は、「幸福」という古今東西の誰もが深く願うテーマを軸に展開している。だからこそ、二千数百年の時を超えて現代においても深く影響を与え続けているのだ。「幸福になりたい」という願望は誰もが抱くものだが、実際に「幸福」になるのは容易なことではない。真に幸福になるための地道で手堅い道筋を示しているのが『ニコマコス倫理学』なのである。第二回は、「義務」や「禁止」といった概念を軸にした堅苦しい倫理学(義務論的倫理学)ではなく、幸福な人生の実現へと読者を導いてくれる実践的な指南の書として『ニコマコス倫理学』の全体像に迫りつつ、「社会的生活」と「観想的生活」という、幸福な人生の二つの類型について明らかにしていく。

【指南役】山本芳久(東京大学大学院教授)…「トマス・アクィナス 理性と神秘」でサントリー学芸賞受賞。
【朗読】小林聡美(俳優)
【語り】小坂由里子

■第3回「徳」と「悪徳」
アリストテレスの説く「幸福」は、単なる「幸運」とは大きく異なっている。幸運にも高額の宝くじに当選した人の中にも、堅実な人生の軌道から逸れ、「不幸」な人生を送ってしまう人もいる。「幸福」になるためには、外的な幸運を真に生かすための内的な力が必要なのだ。その力のことを、アリストテレスは「徳(アレテー)」と呼び、それが一定の行動を何度も繰り返し習慣化することで、「性格」として身についていくという。第三回は、勇気、節制、正義、賢慮といった、現代でもそのまま活用することができる様々な「徳」と、それに対立する「悪徳」を分類しつつ、「徳」を身につける方途を探っていく。

【指南役】山本芳久(東京大学大学院教授)…「トマス・アクィナス 理性と神秘」でサントリー学芸賞受賞。
【朗読】小林聡美(俳優)
【語り】小坂由里子

■第4回「友愛」とは何か
人間は「社会的動物」であり、人間と人間との深いつながりなしには、幸福な人生は考えにくい。そのような人間同士の相互的な絆のことを、アリストテレスは「友愛(フィリア)」と呼んでいる。「人柄のよさに基づいた友愛」「快楽に基づいた友愛」「有用性に基づいた友愛」という友愛の三分類や、「友愛は、愛されることよりも、愛することにその本質がある」という愛の本質についての分析、自己愛と友愛の関係などなど、『ニコマコス倫理学』の友愛論は、「愛」について考察するための豊かな素材に満ちている。第四回は、人類の思想史のなかで最も有名な友情論と言っても過言でないアリストテレスの友愛論を紹介して、人間にとって、真の「友情」とは何か、真の「愛」とは何かに迫っていく。

【指南役】山本芳久(東京大学大学院教授)…「トマス・アクィナス 理性と神秘」でサントリー学芸賞受賞。
【朗読】小林聡美(俳優)
【語り】小坂由里子