映画『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』

  • 4 年前
映画『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』予告編
フランスを震撼させた、神父による児童への性的虐待事件。深いトラウマを抱え生きてきた男たちの、告発のゆくえは──?鬼才フランソワ・オゾンが挑む、衝撃の実話『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』。

フランスでは今現在も裁判が進行中の「プレナ神父事件」。一人の勇気ある告発者から端を発した児童への性的虐待事件は、結果的に80人以上もの被害者が名乗りをあげ、プレナ神父が教区を変えながら長年にわたって信者家庭の少年たちに性的暴力を働いていたという驚くべき事実が白日の下にさらされた。フランスのみならずヨーロッパを震撼させたこの衝撃の事件に、今やフランス映画界のトップにして最先端に立つフランソワ・オゾン監督が、挑む。

出演は、若き天才グザヴィエ・ドラン監督の『わたしはロランス』で圧倒的な存在感と美しさを発揮したメルヴィル・プポー、『ブラッディ・ミルク』でセザール賞を受賞したスワン・アルロー、ヴェネチア国際映画祭で監督賞を受賞した『ジュリアン』の父親役が記憶に新しい実力派のドゥニ・メノーシェ。本作で3人揃ってセザール賞にノミネートされ、心をうがつ傷を繊細かつリアルな演技で表現したアルローが見事助演男優賞を獲得した。

オゾンはこれまでのスタイリッシュな映像と、挑発的かつ幻惑的な作風を封印、子供時代の健やかであるべき日々を奪われた被害者たちの魂の慟哭に寄り添いながら、彼らが人間としての尊厳を取り戻す戦いを、緻密かつ緊張感の漂う演出で描き上げた。ベルリン国際映画祭では銀熊賞(審査員グランプリ)の栄誉に輝き、本国フランスで公開されるや、心を震わせるヒューマンドラマとして絶賛され、91万人を動員する大ヒットを記録した。


解禁された予告編では、虐待のトラウマに苦しむ男たちが告発するまでの<葛藤>と、社会や家族との軋轢など告発したことによる<代償>、それでも告発によって確かに生まれた<希望>の断片が映し出され、深いトラウマを抱えた男たちの告発のゆくえを期待させる予告編が完成した。

なぜ、オゾンは本作をフィクションで撮ったのか?証言や事実を忠実に再現しながらも、それを見つめるのは唯一無二の<オゾン・アイ>だ。私たちは最後に映し出された男たちの瞳の中に、オゾンからの鋭い問いかけと深いメッセージを見るだろう。
2020年7月17日公開

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