上原浩治 魔球『スピリット』の変化量がエグい・・・

  • 8 年前
上原浩治は今季初セーブも不調続く。何が“チーム最年長投手”を苦しめているのか?

2016年5月31日 17時6分 日刊SPA!
上原浩治は今季初セーブも不調続く。何が“チーム最年長投手”を苦しめているのか?  気がつくとMLBシーズンも3分の1近くが終わろうとしている。田澤純一投手(30)など日本人が所属しているボストン・レッドソックスは、アメリカン・リーグ東地区にて首位の座を保ったままだ。そんな中、チーム最高齢の上原浩治投手(41)がいつもと違う様子なのだ。

 今オフ、上原にとっては「前途多難」とも思える出来事があった。レッドソックスに通算225セーブとメジャー屈指のクローザー、クレイグ・キンブレル投手(28)が移籍してきたのだ。彼は常時160キロを投げる剛腕の持ち主で、上原とは対照的なタイプの投手。上原は守護神の座を奪い取られたものの、試合の終盤8回を投げるセットアッパーとしてチームに全力を尽くしている。

 そして30日、上原投手が1回無安打無失点で今季初セーブを挙げた。5対3と勝ち越した延長11回に登板。先頭打者のソーンダースを中飛で抑え、続くバティスタ、ドナルドソンをいずれもスプリットで空振り三振に仕留めた。

 しかし、5月30日時点で防御率4.05と、今シーズンの上原は不調だ。確かに、シーズンが開幕したばかりの時期は最高のパフォーマンスでないこともあるだろう。先ほどのキンブレル投手でさえも、月別防御率にて3~4月が一番悪い(それでも2.93と立派な)数値を示していた。

◆上原浩治を苦しめる制球力の“経年劣化”

 であっても、何故ここまで上原の不調が続くのだろう。結論として、最大の要因は「コントロール」にあると考えられる。実は上原の球速そのものは、昨年と全く変化がなく、衰えを見せていなかった。しかし、コントロールという面では、彼自身の精密さが錆びついてきていたのだ。

 上原のメジャー通算BB/9(仮に9回まで投げ切った場合いくつ四死球を与えるかを示す数値)は、1.3個。今年のリーグ平均が3.2個だとすると、高水準で毎年低い数値をマークしていた。だが、2014年に1.1個だった数字が2015年には2.0個、今年は2.7個と年々数値が悪化。今までの武器が経年劣化してきた、ともいえるだろうか。

 41歳の年齢でメジャーの最前に立っていた投手は、今までにいない。黒田博樹投手(広島)はもちろん、野茂英雄投手(元ドジャースなど)ですら40代でメジャーのマウンドに上がっていなかった。イチロー選手(42)の陰に隠れてしまいがちだが、上原がどう己の限界を乗り越えるかにも、注目したい。

取材・文/石橋和也(Far East Division) photo by WEBN-TV via flickr

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